May 23, 2025
ERD(エンティティ・リレーションシップ・ダイアグラム)完全ガイド
May 23, 2025
ERD(エンティティ・リレーションシップ・ダイアグラム)完全ガイド

エンティティ・リレーションシップ・ダイアグラム(ERD)は、データベース設計に欠かせない重要なツールです。システム内のエンティティ(実体)とその相互関係を視覚的に整理することで、データ構造を効率的に計画・設計・管理できます。本記事では、ERDの概要から使用タイミング、主要要素や記号、利点、種類、そしてXmindを使った作成方法までをわかりやすく解説します。
ERD(エンティティ・リレーションシップ・ダイアグラム)とは?
ERD(Entity Relationship Diagram)とは、データベース設計において、エンティティ(実体)とそれらの関係性を図式化するためのビジュアルツールです。システムの構成要素を記号と線で明確に示すことで、複雑なデータ構造を誰にでもわかりやすく伝えることができます。
例えるなら、ERDはデータベース設計の「設計図」のようなものです。データ間のつながりを視覚的に把握することで、情報の正確性や再利用性を高めることができます。

ERDの基本構成
ERDは、データベースの構造を形成する以下の4つの基本要素で構成されます。
エンティティ
エンティティとは、データベースにおける「対象物」や「概念」を指し、通常は四角形で表されます。例:顧客、注文、商品など。
属性
属性は、エンティティの「性質」や「特徴」を表すもので、楕円形で描かれます。例:顧客名、注文日、価格など。
リレーションシップ
リレーションシップは、複数のエンティティ間の「関係性」を示すもので、菱形または線で接続されます。関係の種類には、「1対1」「1対多」「多対多」などがあります。
キー
キーは、エンティティ内のレコードを一意に識別するために使用されます。
- 主キー(Primary Key):レコードを一意に特定。
- 外部キー(Foreign Key):他のエンティティとの関連を示すために使用。
ERDで使われる主な記号
ERDを正しく読み取り、作成するためには、記号の意味を理解することが重要です。
四角形
エンティティを表します。データベース内の主な要素です。
楕円形
エンティティの属性を示します。例えば「名前」「住所」などの具体的な情報。
菱形線
エンティティ間の関係性を示します。「購入する」「所有する」などの動詞が使われることが多いです。
線
エンティティと属性、または関係性を結ぶ線。依存関係や接続の有無を表します。

クロウズ・フット記法
関係の「多重度(カーディナリティ)」を視覚的に表現する記法で、次のような関係を明確にします:

ERDの代表的な種類
ERDにはいくつかのタイプがあり、それぞれ異なる目的で使用されます。
概念的ERD
概念的ERDは、システム全体の概要を高レベルで示す図です。主なエンティティとその関係性に焦点を当て、属性の詳細までは含みません。データベース設計の初期段階や、非技術者とのコミュニケーションに最適です。
論理的ERD
論理的ERDは、エンティティ・関係・属性をすべて含む構造図で、実装に関する詳細は含みません。必要なデータ要件を網羅的に把握するために用いられます。
物理的ERD
物理的ERDは、テーブル名、カラム、データ型、制約条件などを含む最も詳細な図です。データベース管理者や開発者が実装フェーズで利用する重要な資料となります。
ERDを活用するメリット
ERDを導入することで、以下のような多くの利点が得られます。
コミュニケーションの向上
視覚的にわかりやすいデータ構造の図は、技術者だけでなく非技術者との情報共有もスムーズにします。
質の高いデータベース設計
設計段階でエンティティと関係性を可視化することで、問題点や重複を早期に発見でき、効率的で整合性のある設計が可能になります。
保守性の向上
ERDはデータベース構造のドキュメントとして機能し、将来的な理解・保守を容易にします。
データ品質の向上
リレーションと制約条件を明確にすることで、データの整合性と一貫性が保たれ、高品質なデータ運用が実現します。

ERDが必要となるシーン
エンティティ・リレーションシップ・ダイアグラム(ERD)は、以下のような場面で特に重要な役割を果たします。
データベース設計
新たにデータベースを構築する際、ERDは必要なエンティティとその関係を明確にし、整然とした構造を実現する設計図となります。初期段階での視覚化により、冗長性や欠陥を未然に防げます。
システム統合
複数のシステムを連携させるプロジェクトでは、各データの相互作用を明確にするためにERDが欠かせません。依存関係や統合の課題を特定し、スムーズなデータ連携を実現します。
データ移行
既存のデータベース構造を把握し、新システムへの移行計画を立てるうえで、ERDは移行プロセスの設計と品質保持に大きく貢献します。
ビジネスプロセスのモデリング
業務フローにおけるデータの流れを視覚的に示すことで、非効率や重複を明確化し、業務改善や最適化を支援します。

XmindでERDを作成する方法
Xmindは、ERDのような構造的な図を美しく、効率的に作成できるマインドマッピングツールです。以下にXmindを使ったERD作成のステップをご紹介します。
ステップ1:エンティティの特定
まずはデータベースに含まれるすべてのエンティティを洗い出し、四角形(Format > Style > Shape)で配置します。例:「顧客」「注文」「商品」など。
ステップ2:属性の追加
各エンティティに対応する属性を楕円形で追加します。主キーや外部キーなど、重要な属性も忘れずに。例:「顧客ID」「注文日」「価格」など。
ステップ3:関係性の定義
エンティティ間の関係性を明確にし、1対1、1対多、多対多などの関係を線や注釈で示します。例:顧客は複数の注文を持つ(1対多)など。
ステップ4:レイアウトの調整
Align Floating Topicsなどの機能を使ってレイアウトを整理し、視認性を高めましょう。必要に応じて色分けなども効果的です。

ステップ5:検証
関係の見落としやカーディナリティの誤り、冗長なエンティティがないかをチェックします。正確な表現は、データ整合性の維持に不可欠です。
Sステップ6:保存と共有
完成したERDは保存し、チーム内でレビューやフィードバックを共有しましょう。満足のいく仕上がりであれば、XmindギャラリーやSNS(Facebook/X/Pinterest)でも共有できます。

エンティティ・リレーションシップ・ダイアグラム(ERD)は、データベース設計およびデータモデリングにおいて欠かすことのできないツールです。データベース内の構造や関係性を、明確かつ体系的に表現・共有できるため、あらゆるプロジェクトにおいて重宝されます。
ERDの基本構成、記号、利点、種類を理解し、ベストプラクティスに従って作成することで、より効率的で正確、かつ実用的なデータベース設計が実現できます。
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Xmind のようなマインドマッピングツールを活用すれば、複雑なデータ構造の可視化と管理がよりスムーズになります。データベース設計者、開発者、ビジネス関係者など、あらゆる立場の方にとって、ERDを使いこなすことで、データの理解と活用能力を大幅に向上させることができるでしょう。
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