1. 前世:竜騎士
    1. 父親と弟が率いる軍隊に、だまし討ちにされ殺される。和平を結ぼうと呼びかけられて、のこのこと出てきたところを処刑される。
    2. Event:弟は兄の美しい顔が嫌いだった。その顔に、真っ赤になった焼き鏝を当てる。
  2. 前世における父親は、弟への偏愛故に兄(少女)を殺したが、実は愛情がなかったわけではない。その証拠
  3. 共に都に赴き、入内する。四つあるうちの妃の身分のうち、第二であるが、共に都入りしたことは、各世界に大きな衝撃を与えた。
  4. あまりにも優秀な兄と凡百な弟。父親は弟を可愛がった。占星術師によって、兄が父を簒奪すると占せらえていたからだ。弟は生死を超えて劣等感を持ち越す。
  5. 醜い痣のために、右の髪の毛はいつもたらしている。それがかえって妖艶さを若いながらに漂わせていると風聞になっていた。小さいときからそれをコンプレクスに感じて育つ。同時に家族が自分にだけ秘密をつくっているという感覚も不快だった。孤立しているわけでもないのに、常に淋しさを感じていたが、自尊心の高さがそれを簡単に外に出させなかった。
  6. 楼の国(12ある爵位のうち第3位水晶爵)
  7. 紫、黄、赤、青、長女から四女まで。
  8. 前世;何処か別の世界
  9. 紫姫の父親、楼水晶爵、字は麒(キ)母親、楼水晶爵夫人、字は祐ともに能天気な人であって、平和が長く続いた世であればこそ、そのような高い身分に生まれついで無事でいられる、とは娘の親観である。
  10. 宰相:顔塩、字は麩。銅爵。40歳切れ者である。紫姫からすると、彼のおかげで今の楼国の地位がある、らしい。男。
  11. 占星術師:実はミラノ帝国からやってきた、第一人者の娘。姦通罪によって島流しになったが、ほうほうのていで、ミラノ世界から脱出してきた。女性、年齢、30歳
  12. 劉玄徳:古代の大書家
  13. 疑似中華帝国ヒエラルキー
    1. フローティングトピック
    2. フローティングトピック
  14. 12の爵位。1光、2水、3水晶、4土、5、火、6、空、7金、8銀、9銅、10鉄、11酒、12塩
  15. 後宮
    1. 正妃
  16. 1位:竜妃2位鷺妃(紫姫はこの位で入内する。)3位魚妃4位兎妃(とひ)の四つの位がある。
  17. 皇帝
    1. フローティングトピック
  18. 翡翠:呪術師が水晶爵夫人から与えられた名前。故郷ミラノ帝国ではコルネリアと呼ばれていた。
  19. 東宮妃、夏麗、字は礼
    1. 紫姫、楼鷺妃に激しい敵意を示す。
  20. フローティングトピック
  21. フローティングトピック
  22. 皇帝崩御、新帝即位
  23. 夏翅、正妃の父親、外戚一族の長。宰相。凡庸な皇帝を操って国政を壟断することをたくらんでいるが、今は、準備期間として、かつて敵対したものを登用したり、自分の一族を要職に示させないといった、これまでの政治史ではありえないマネをしたりして、自らのカリスマが増大する様子をただ眺めている。
    1. 紫姫の父親である楼水晶爵は友人のために、娘が少女の敵意を示す理由を測りかねている。
  24. サブトピック 1
  25. 紫姫は翡翠を全面的に信用している。しかし、呪術師は少女にすべてを、そう前世で何があったのかを明らかにしていない。そのことを知ったとき、少女は・・・・。
  26. 翡翠は少女を、自らの命を犠牲にして救う、それがこの章のエンディング。
  27. 入内した紫姫は楼鷺妃なる名前を与えられる。東宮との出会いはそれほどの感慨は受けなかったが、東宮妃(正妃)との邂逅は運命的な恐怖を覚えた。なお入内とほぼ同時に皇帝は崩御し、東宮は新帝に即位する。少女は魑魅魍魎世界としか思えない、この後宮の中において唯一、心が許せる存在、翡翠(少女の前世を見切った異国の呪術師)を彼女に奪われそうになる。外国人は後宮に入れないために動物として入れるより他に方法がなかった。じっさい、その手を使って外国人の侍女を伴う妃も少数だがいなかったわけではない。翡翠を視た瞬間に、紫姫の力強い味方であると読んだ正妃は二人を引き離す方法としてそれを選んだ。こともあろうに、少女に打撃を与えるために、翡翠を全裸にして首輪と鎖で犬に仕立て上げて、後宮から宮殿まで歩かせることを考える。その際、多くの人の目が集まる広場で、奴隷としての烙印を意味する刺青を、彼女の顔に入れることをもくろむ。なお、翡翠はその命令を知ってから、広場に至るまで完全に冷静な態度を通し、かえって少女を困惑させた。だが、正妃の命令を受けて、翡翠を連行する任を担ったのは後宮を警護する女竜騎士を集めた近衛であった。そのなかに、少女の母親が後宮内の知己である宦官、疎に依頼して入れ込んだ、濃がいた。彼女は少女と幼馴染であり、ともに竜騎士としての研鑽を積んだ間柄である。彼女は密かに一団から外れると、疎の下に報告に赴いた。彼は皇帝に、翡翠を新たな妃にすることで、彼女を救う策を上申する。外国人を妃としてはいけない、という決まり事は存在しなかった。前例がないわけでもない。皇帝は躊躇いながらも、その策に同意する。【始女帝弐~77】
  28. 正妃の、紫姫こと楼鷺妃に対する敵意は、最初は単なるいらいらの発露にすぎなかった。東宮が皇帝に即位したとたんに、歴史の通例に倣って権勢をほしいままにできると思ったにもかかわらず、それに水を差したのは誰あろう、父である、いわば外戚である父親、宰相、夏翅であった。彼は中立派どころか、彼に相反する立場にある人間も、ほぼ持てる能力に忠実に人を登用した。実が、さじ加減、自分に都合のよい登用も行っていたのだが、それは目立つ形ではなかった。【始女帝弐1~30】
  29. 宮廷における、いや、世界の中央という世界において、もっとも他人に屈辱を与えたければ、唾を吐きかけるよりも、無造作に頭の上に手を乗せればいい。その慣習があるからこそ、紫姫は髪の毛で痣を隠すことで世界に乗り出すことができたのである。
  30. 正妃は恐ろしいことを考えていた。翡翠を、人々の往来のある広場に連れて行き、そこで奴隷の証である刺青を彼女の顔にいれようとしていたのである。人間と認める代わり、というのが正妃の論理だった。しかしそのもくろみは、宦官、疎の策略によって潰える。皇帝は、翡翠を妃として入内させると宣言し、後に残されたのは正妃の憎しみだけだった。【始女帝弐~77】
  31. 故郷から侍女を宮廷に伴うことは許されず、入内した紫姫は孤独だったが、唯一の友人は、翡翠だけだった。彼女は動物扱いすることでようやく後宮に入れることができた。それを逆手に取ったのが、正妃だった。翡翠と懇意にしていることを知った彼女は、紫姫に、珍妙な動物を欲しいという内容の手紙を送る。それが翡翠を意味することはあまりにも明白だった。翡翠は自ら従うことを申し出る。何と全裸にしたうえで首輪と草襟というまさに動物扱いとしか思えない方法で、正妃の侍女は彼女を連行していく。それに当たっては近衛が担っていた。そのうちのひとりに、濃がいた。彼女は、紫姫の母親が知り合いである宦官、疎を通じて近衛にねじ込んだのである。彼は、濃に、紫姫の元へと戻るようにいい、自分は秘密のトンネルを使って皇帝の下へと向かった。彼には翡翠を救う秘策があった。それは外国人の妃を迎えることを禁じた決まり事がないことをいいことに、翡翠を新しい妃として入内させることだった。【始女帝弐~57】
  32. 正妃は、すぐに紫姫を、後宮の自室へと呼び出す。少女はいまだ翡翠が無事に解放されたことを知らない。そんな少女に、正妃は、かつて翡翠にしてやりたかったことを、あたかも実現したかのように話して挑発する。かくて、それに負けた少女は部屋の中で目に付いた剣を握ると正妃に斬りつけようとした。はたして、正妃が命ながらえたのは、とたんに入室してきた近衛のためか、少女自身の理性が原因か、それはわからない。ただ、この瞬間に、紫姫は正妃の自家薬篭中の存在となったのである。そのことを翡翠に話すことができなかった。【始女帝弐~159】
  33. 翡翠は、楊という、珍妙な文字を姓に与えられただけでなく、貴妃というこれまでにない身分を与えられた。楊貴妃の誕生である。 そのことは、紫姫にさらなる孤独を強いるという正妃の目的は達成させられた。妃と言う点においては同等の身分である以上、同じ部屋を 使うわけにはいかない。
  34. 正妃は、常に紫姫を呼び出し、侍女の役割を与えるどころか、奴隷の服を着せて、とうてい貴族がするとは 思えない、まさに下々が行う仕事をさせるなどして、屈辱を味あわせた。それだけでなく、皇帝が来ない夜は、 その身体まで要求されるようになった。 何がきっかけだったのか、正妃は、一週間と言う約束で少女を園鉄爵という、彼女の実家よりもはるかに格下の貴族の家に、 奴隷として奉公することを命じる。叛逆罪という脅迫材料がある以上、紫姫に反抗する方法はなかった。【始女帝弐~229】
  35. とある貴族家の長女に、大変に美しい容貌と知性に恵まれて生まれる。しかしながら、玉にきずともいうべき醜い痣が右額にうまれついであった。
    1. フローティングトピック
  36. 美しく14歳になった少女は自ら皇太子のところに上がりたい両親に申し出る。二人は反対するが、彼女の目を見せられると、無意味だと思い知らされた。