1. 油脂(トリグリセリド)
    1. グリセリン(C₃H₅(OH)₃)
      1. 3価アルコール
        1. 分子中にヒドロキシ基(-OH)を1個含んでいるアルコール
          1. 1価アルコール
        2. 分子中にヒドロキシ基(-OH)を2個含んでいるアルコール
          1. 2価アルコール
        3. 分子中にヒドロキシ基(-OH)を3個含んでいるアルコール
          1. 3価アルコール
        4. 多価アルコール
    2. 脂肪酸R-COOHのエステル
      1. 高級脂肪酸
        1. Cが何個か鎖状に並んでいる
        2. Cの数が6個以上の場合
        3. 三重結合は含まない
    3. 性質
      1. 水に溶けにくい
      2. 有機溶媒によく溶ける(エーテル・ベンゼンなど)
  2. 油脂の分類
    1. 炭素数
      1. 多いもの
        1. 高級脂肪酸
          1. 高級油脂
      2. 少ないもの
        1. 低級脂肪酸
          1. 低級油脂
    2. 炭素間の結合
      1. 飽和結合(単結合のみ)
        1. 飽和脂肪酸
          1. 飽和油脂
      2. 不飽和結合も含む
        1. 不飽和脂肪酸
          1. 不飽和油脂
    3. 状態
      1. 常温で液体
        1. 脂肪油
          1. 植物性
          2. オリーブオイル、ごま油、サラダオイル
          3. 低級脂肪酸、高級不飽和脂肪酸が多く含まれる
          4. C=C結合(二重結合部分)のところで分子が折れ曲がっているため、 分子同士が近づきにくく、分子間力が弱くなり結合が切れやすい。 そのため、常温で液体になる。
      2. 常温で固体
        1. 脂肪
          1. 動物性
          2. 牛脂、豚油
          3. 高級飽和脂肪酸が多く含まれる
          4. 分子がほぼ直線状で、分子同士が近づきやすく、分子力感が強い。 そのため、常温で固体となる。
  3. 油脂のけん化
    1. 油脂の塩基(NaOH、KOH)など)の水溶液を加えて加熱
      1. けん化
        1. グリセリン
        2. 高級脂肪酸の塩
          1. 高級脂肪酸のナトリウム塩=せっけん
  4. 油脂の硬化
    1. 不飽和度の高い液体の油脂(脂肪油)
      1. 二重結合が多い
    2. 脂肪油にニッケルを触媒として高温で水素付加する
      1. 油脂の融点が高くなる
        1. 常温で固体になる
          1. 硬化油
          2. マーガリン、せっけんなどの原料
      2. 水素が付加して飽和脂肪酸を多く含む油脂となる
  5. フェノール類
    1. フェノール類の構造
      1. ベンゼン環やナフタレン環にヒドロキシ基-OHが直接結合
        1. 弱酸性
          1. 炭酸より弱い
      2. 注意:ベンジルアルコールはベンゼン環をもつが、-OHがベンゼン環に 直接結合していないので、フェノールではなく、ただのアルコール
    2. フェノールの性質
      1. 特有のにおいをもつ無色の固体
      2. 融点41℃
      3. 水にわずかに溶けて電離する(電離度小)
      4. 有機溶媒にはよく溶ける
      5. 塩化鉄(Ⅲ)(FeCl3)水溶液を加えると、青紫~赤紫に呈色する
        1. 鉄イオン( Fe3+ )にフェノキシドイオン( phenoxide ion )Ar–O- が 配位( 6 配位)した錯体を形成して紫系に呈色
        2. フェノール類の構造で色が異なり,フェノール,1 – ナフトールが紫, クレゾールで青,2 – ナフトールは緑,サリチル酸で赤紫色に呈色
    3. フェノールの製法
      1. 1: クメン法
      2. 2: アルカリ融解(ベンゼンスルホン酸を経由)
      3. 3: クロロベンゼン法
      4. 4: 塩化ベンゼンジアゾニウム
    4. サリチル酸 C6H4(OH)COOH
      1. 構造
        1. 1分子中に-OHと-COOHをもつヒドロキシ酸
          1. フェノールとカルボン酸の両方の性質をもつ
      2. 性質
        1. 無色針状の結晶(融点159℃)
        2. 水にわずかに溶ける
        3. フェノール性ヒドロキシ基-OHがあるので、塩化鉄(Ⅲ)水溶液で赤紫色を呈する
      3. 製法
        1. サリチル酸
        2. サリチル酸メチル
          1. 高濃度
          2. 貼付剤(湿布薬)、非ステロイド性抗炎症薬
          3. 低濃度
          4. 食品添加物(香料)、洗口液(リステリン)
        3. アセチルサリチル酸
          1. アスピリン-鎮痛目的、抗血小板薬 副作用や飲み合わせに気を付ける
  6. 芳香族化合物
    1. 芳香族の構造
      1. ベンゼン環(C6H6)をもつ炭化水素
        1. 芳香族炭化水素
          1. ベンゼン(C6H6)
          2. トルエン(C7H8)
          3. キシレン(C8H10)
          4. ナフタレン(C10H8)
        2. たいてい無色で特有のにおいを持つ
        3. 可燃性
          1. 空気中では、炭素の比率が高いため、 多量のすすを出して燃える
        4. 水より軽く、水にほとんど溶けない
        5. 発がん性率が高く有害
      2. 6本の炭素原子間の結合は 単結合と二重結合の中間にある
      3. ベンゼン環の二重結合は、 高速で移動している
        1. π結合
          1. ベンゼンの炭素原子間の二重結合のうち、1つをπ結合という
        2. π電子
          1. π結合に関与している電子
          2. π電子は全ての炭素原子間に均等に分布しており、 二重結合の位置は固定されていない
        3. 結合しやすい
          1. 反応性が良い
    2. 芳香族の性質
      1. π結合の形(ドーナツ状)が エネルギー的に安定
        1. ドーナツ状の上下でバリア層のようなものができ、 +と-の粒子に分解される。
          1. プラズマに対する耐エッチング性に優れている
        2. 付加反応は起こりにくい
        3. 負の電荷なので、陰イオンには近づけない
          1. 陽イオンかラジカル電子を求めて行動する
    3. 置換基の配向性
      1. 0-(オルト)
      2. m-(メタ)
        1. オルトーパラ配向性の基(電子を押し出す傾向がある基)
        2. -OH、-NH2、-OCH3、-CH3、-Cl、-NHCOCH3
        3. メタ配向性の基(電子を引き付ける傾向がある基)
        4. -NO2、-SO3H、-CN,-COOH、-COOCH3
      3. p-(パラ)
    4. 芳香族の反応
      1. 置換反応
        1. スルホン化
          1. 生成物:ベンゼンスルホン酸(C6H6O3S)
          2. 強酸性
          3. -SO3Hはスルホ基
        2. ニトロ化
          1. 生成物:ニトロベンゼン(C6H5NO2)
          2. 中性
          3. -NO2はニトロ基
        3. ハロゲン化
          1. 生成物:クロロベンゼン(C6H5Cl)
          2. 中性
      2. 付加反応
        1. 水素付加
          1. 生成物:シクロヘキサン(C6H12)
        2. 塩素付加
          1. 生成物:ヘキサクロロシクロヘキサン(C6H6Cl6)
      3. 酸化反応
        1. 生成物:安息香酸( C6H5COOH)
        2. -COOHはカルボキシ基
        3. 芳香族カルボン酸
        4. ベンゼン環に結合した炭化水素を酸化すると得られる
        5. ベンジルアルコール(C7H8O)は1級アルコールなので、 まずアルデヒドになり、その後カルボン酸になる。
        6. 芳香族カルボン酸は染料・医療の原料や、 合成樹脂や合成繊維の原料となる