1. 芳香族アミン
    1. 構造
      1. アミノ基(-NH₂)を含んだ化合物
        1. 極性を持つ
      2. アンモニア分子NH₃の中の水素原子を 炭化水素基で置換した形の化合物(NH₃→R-NH₂)
        1. 置換した数
          1. 1個
          2. 第1級アミン
          3. 2個
          4. 第2級アミン
          5. 3個
          6. 第3級アミン
          7. 4個
          8. 第4級アンモニウムカチオン
      3. 分子間で水素結合を形成する
        1. 沸点は似たような分子量のアルカンなどに比べて高い
  2. アニリン
    1. 構造
      1. C6H5-NH2)
      2. ベンゼン環の炭素原子にアミノ基(-NH₂)1個が直接結合
      3. アンモニアNH₃のH原子1つをフェニル基(C₆H₅-)で置換
    2. 性質
      1. 弱塩基
      2. 酸と中和して塩を生じる
      3. 水には溶けにくく、有機溶媒にはよく溶ける
      4. 特有の不快臭を持ち、油状の液体で有毒
      5. 非共有電子対を持ち、酸化されやすい
      6. アニリン塩酸塩を水酸化ナトリウムでアニリンに戻す
    3. 製法
      1. ベンゼンからアニリンは直接作れない!
        1. アミノ基は非共有電子対をもっている
        2. ベンゼンの電子雲は電荷がマイナスのため 斥力が働き、アミノ基はベンゼンに攻撃できない
      2. ベンゼンを別の物質に変形させ それをアニリンに変形する
        1. 1.ニトロベンゼンを作る
          1. どちらも「ベンゼン+N」まで構造が同じだから
          2. ニトロ化
          3. 濃硝酸と濃硫酸を混ぜて60℃程度で反応
        2. 2.ニトロベンゼンからアニリンを作る
    4. 検出反応
      1. 1.アニリン+さらし粉(CaCl(ClO)H₂O
        1. アニリンが酸化されて赤紫色に呈色する
      2. 2.アニリン+硫酸酸性ニクロム酸カリウム水溶液(K₂Cr₂O₇)
        1. アニリンが酸化されて黒色沈殿アニリンブラックができる
        2. 水に溶けにくく染料に用いられる
  3. 芳香族化合物の分離
    1. 芳香族化合物は一般的に水に溶けにくく、 有機溶媒に溶けやすい
      1. 塩は水に溶ける
        1. 酸性物質は塩基、塩基性物質は酸と 反応して塩を生成
        2. 塩を生成するかを利用して、 エーテルと水の層に分離する
    2. 確認点
      1. その化合物自体が酸性か中性を示すのか, それとも塩基性を示すのか?
      2. 酸性の場合の酸の強さは?
    3. 分離のポイント
      1. 1. 塩をつくって水に溶けるようにする
        1. 酸+塩基→塩+水(中和反応)
      2. 2. 生成した塩に強酸・強塩基を加えると 弱酸が追い出され、弱酸・弱塩基が遊離する
        1. 弱酸の塩+強酸→弱酸+強酸の塩 (逆反応はない)
        2. 弱塩基の塩+強塩基→弱塩基+強塩基の塩 (逆反応はない)
    4. 分離の仕方
      1. 塩以外の有機化合物は油層またはエーテル層に存在
        1. 比重が水より小さいため、 有機層は水層の上に位置する
  4. 芳香族アミンの反応
    1. アセチル化
      1. 酢酸や無水酢酸を使ってアセチル基(CH₃C=O-)を置換する
        1. 生成物:アセトアニリド
          1. 無色板状の結晶
          2. 各種医薬品(解熱剤)
      2. アミド結合
        1. アミノ基とカルボキシ基からH₂Oが取れて (脱水縮合した)生じた構造の結合
    2. ジアゾ化
      1. アニリンを酸化してアゾ基(R-N=N-R')の元を作る
        1. 生成物:塩化ベンゼンジアゾニウム
    3. ジアゾカップリング
      1. ジアゾニウム塩からアゾ化合物を生じる反応
        1. 生成物:p-ヒドロキシアゾベンゼン
      2. 芳香族アゾ化合物はアゾ染料(合成染料)として用いられる