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芳香族アミン
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構造
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アミノ基(-NH₂)を含んだ化合物
- 極性を持つ
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アンモニア分子NH₃の中の水素原子を
炭化水素基で置換した形の化合物(NH₃→R-NH₂)
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置換した数
- 1個
- 第1級アミン
- 2個
- 第2級アミン
- 3個
- 第3級アミン
- 4個
- 第4級アンモニウムカチオン
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分子間で水素結合を形成する
- 沸点は似たような分子量のアルカンなどに比べて高い
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アニリン
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構造
- C6H5-NH2)
- ベンゼン環の炭素原子にアミノ基(-NH₂)1個が直接結合
- アンモニアNH₃のH原子1つをフェニル基(C₆H₅-)で置換
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性質
- 弱塩基
- 酸と中和して塩を生じる
- 水には溶けにくく、有機溶媒にはよく溶ける
- 特有の不快臭を持ち、油状の液体で有毒
- 非共有電子対を持ち、酸化されやすい
- アニリン塩酸塩を水酸化ナトリウムでアニリンに戻す
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製法
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ベンゼンからアニリンは直接作れない!
- アミノ基は非共有電子対をもっている
- ベンゼンの電子雲は電荷がマイナスのため
斥力が働き、アミノ基はベンゼンに攻撃できない
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ベンゼンを別の物質に変形させ
それをアニリンに変形する
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1.ニトロベンゼンを作る
- どちらも「ベンゼン+N」まで構造が同じだから
- ニトロ化
- 濃硝酸と濃硫酸を混ぜて60℃程度で反応
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2.ニトロベンゼンからアニリンを作る
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検出反応
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1.アニリン+さらし粉(CaCl(ClO)H₂O
- アニリンが酸化されて赤紫色に呈色する
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2.アニリン+硫酸酸性ニクロム酸カリウム水溶液(K₂Cr₂O₇)
- アニリンが酸化されて黒色沈殿アニリンブラックができる
- 水に溶けにくく染料に用いられる
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芳香族化合物の分離
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芳香族化合物は一般的に水に溶けにくく、
有機溶媒に溶けやすい
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塩は水に溶ける
- 酸性物質は塩基、塩基性物質は酸と
反応して塩を生成
- 塩を生成するかを利用して、
エーテルと水の層に分離する
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確認点
- その化合物自体が酸性か中性を示すのか,
それとも塩基性を示すのか?
- 酸性の場合の酸の強さは?
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分離のポイント
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1. 塩をつくって水に溶けるようにする
- 酸+塩基→塩+水(中和反応)
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2. 生成した塩に強酸・強塩基を加えると
弱酸が追い出され、弱酸・弱塩基が遊離する
- 弱酸の塩+強酸→弱酸+強酸の塩
(逆反応はない)
- 弱塩基の塩+強塩基→弱塩基+強塩基の塩
(逆反応はない)
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分離の仕方
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塩以外の有機化合物は油層またはエーテル層に存在
- 比重が水より小さいため、
有機層は水層の上に位置する
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芳香族アミンの反応
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アセチル化
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酢酸や無水酢酸を使ってアセチル基(CH₃C=O-)を置換する
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生成物:アセトアニリド
- 無色板状の結晶
- 各種医薬品(解熱剤)
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アミド結合
- アミノ基とカルボキシ基からH₂Oが取れて
(脱水縮合した)生じた構造の結合
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ジアゾ化
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アニリンを酸化してアゾ基(R-N=N-R')の元を作る
- 生成物:塩化ベンゼンジアゾニウム
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ジアゾカップリング
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ジアゾニウム塩からアゾ化合物を生じる反応
- 生成物:p-ヒドロキシアゾベンゼン
- 芳香族アゾ化合物はアゾ染料(合成染料)として用いられる