1. I.1 有機半導体の開発
    1. 有機エレクトロニクス
      1. 有機電子デバイスの研究開発:進展+動作原理の理解
        1. 有機エレクトロルミネッセンス
          1. (有機EL:Organic Electroluminescence)
        2. 有機トランジスタ
          1. Organic Transistor
      2. 導電率から見ると絶縁体として分類される材料
        1. ある程度の移動度(~10⁻³ cm²/V・S)
        2. 電子とホールが移動し、電流が観測される有機材料が多数発見。
      3. 研究分野の基礎
        1. 有機半導体で培われた大いなる知見
      4. 有機物
        1. プラスチックやゴムなどから連想されるように古くから絶縁体の代名詞
          1. =産業上の応用
          2. 絶縁性・誘電特性が利用:絶縁被覆材料・コンデンサー・樹脂で成形された筐体など
      5. 歴史
        1. 無機半導体エレクトロニクス分野
          1. 第2次大戦後はシリコンを代表、世界経済を牽引
        2. 既成概念を打ち破り、有機物そのものに電気を流すことを提唱
          1. 有機半導体という技術領域を先駆したのは日本の研究者
        3. 1954年、東京大学の井口洋夫、赤松秀雄、松永義夫
          1. 芳香族炭化水素とハロゲンとが強い電荷移動錯体を形成
          2. ⇒導電率が向上することを見出
          3. ペリレン臭素錯体は安定的で非常に高い導電度(~10 Ω・cm)を発現
          4. Nature, 1954、173、168
        4. 1973年ジョンズ・ホプキンス大学のJ. H. Perlstein, ペンシルバニア大学のA. J. Heegerら
          1. テトラチアフルバレンーテトラシアノキノジメタン(TTF-TCNQ)錯体の電荷移動錯体見出
        5. ほぼ同時期に、白川英樹ら
          1. ポリアセチレンにヨウ素などのアクセプターやアルカリ金属などのドナーをドーピングすること
          2. ⇒10^2 S/cmと金属並みの導電率が得られる導電性高分子の研究
          3. OLED_I-1.png
          4. 有機電荷移動錯体や有機金属の導電メカニズムについて多くのモデルが確立
          5. 導電性高分子の研究は2000年のノーベル化学賞の受賞
      6. 有機半導体の研究成果
        1. コピー機やレーザープリンターの感光ドラムに利用される有機光導電体(Organic Photoconductor:OPC)材料として応用
        2. 現在:感光ドラムのほぼ100%に有機半導体感光剤
          1. 感光ドラム
          2. アルミを基板とし、その上部に電荷発生層と電荷輸送層を積層した構造
          3. 有機感光体の代表的な電荷輸送材料
          4. カルバゾール系化合物やアリールアミン系化合物を使用
          5. OPC分野における電荷輸送材料の高性能化
          6. 有機ELの素早い立ち上がりを促す。
          7. OLED_I-2.png
  2. I.2 様々なルミネッセンス現象
    1. 現象
      1. 有機EL
        1. 電気を流すのみならず、電気を光に変換する過程を有していることが最大の特徴
          1. 有機ELの研究では正孔・電子を流すことを追求
          2. 発光中心となる有機発光材料の分子設計も重要
      2. 有機発光材料
        1. 広義の意味でエネルギー刺激を与えられたとき、
          1. それに対する応答として光を放出する機能を有する有機材料
        2. 有機材料の発光過程
          1. エネルギー変換プロセス
    2. 入力エネルギー種
      1. 光エネルギー・電気エネルギー・化学エネルギーなど多種多様
      2. それぞれの刺激に対応
        1. フォトルミネッセンス(Photoluminescence)
        2. エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence:EL)
        3. ケミルミネッセンス(Chemiluminescence)
        4. 要約
          1. OLED_I-3.png
    3. 各発光現象の詳細なプロセス
      1. 共通点
        1. どんな発光現象でも有機分子が最終的に必ず高いエネルギーをもつ励起状態を形成
        2. エネルギーを光として放出し、
          1. エネルギー的に低く安定な基底状態に戻るプロセス
      2. 異なる点
        1. 有機化合物からなる発光体に電気エネルギーを与えて励起
          1. 励起状態から失活する際のエネルギーを光として取り出す
          2. エレクトロルミネッセンス現象を利用した発光素子が有機EL素子
    4. 有機EL
      1. とは。
        1. 有機薄膜内にキャリアを注入し、
          1. 有機色素上で再結合させて励起状態を形成
          2. 発光を取り出すことからキャリア注入型EL
      2. 呼び名
        1. @日本
          1. 有機ELという呼び名が定着
        2. @世界
          1. 発光ダイオードの一種としてOLED(Organic Light Emitting Diode)という呼び名
      3. 構成
        1. 基本構造
          1. 陽極と陰極間
          2. 正孔輸送層/発光層/電子輸送層の積層膜
          3. 全体の膜厚は100 nm~200 nmと極めて薄い素子構造
          4. 要約
          5. OLED_I-4.png
        2. ディスプレイ用途
          1. 赤、青、緑の三原色の発光を調整しなければならない
          2. 有機ELでは発光層に用いる有機発光材料の発光波長を制御
          3. 自在に色調の制御。
      4. 発見の当初から期待
        1. 高機能フラットパネル
        2. 面発光照明への応用
        3. 要約
          1. ⇒括発に研究開発が行われてきたデバイス
      5. 特徴
        1. 電流注入型の薄膜面発光デバイス
        2. 視野角が広く視認性に優れる
        3. 10 V以下で駆動できる低電圧駆動が可能
        4. μ秒オーダーの速い応答速度であるため動画再生性能に優れる
        5. 単純な素子構造のため薄型化および軽量化できる
  3. I.3 有機ELの黎明期
    1. 有機ELの研究
      1. 1953年に有機色素を含む高分子薄膜に高い交流電流を印加すると発光
        1. 発見; A.Bernanoseの研究が始まり…
          1. A.Bernanose
          2. 色素含有高分子薄膜からの発光が、すでに知られていたキャリア注入を伴わない真性ELの一種である無機ELと同様の機構で起こると主張
          3. この有機物からの発光は電極のグロー放電に由来する紫外光によって蛍光体が励起されての二次的発光であったと理解
      2. 1960年代:ニューヨーク大学のM. Popeら・NRC Canadaの、W. Helfrichら
        1. アントラセン単結晶の両端に溶液電極
          1. 溶液:陰極:アントラセンのアニオンラジカル
          2. 陽極:カチオンラジカル
        2. 電場を印加すると、単結晶からアントラセンのフォトルミネッセンスと同じ蛍光
        3. 溶液電極を介して有機薄膜にキャリアを注入し、
          1. アントラセンからの発光を取り出し
          2. アントラセン単結晶ELの動作機構(図5)
          3. 溶液電極から結晶中へ正孔(ホール)もしくは電子が注入され、
          4. 生成されたラジカルカチオンおよびラジカルアニオンが外部電界により結晶中を移動
          5. 再結合して発光する
          6. しかし:アントラセン単結晶
          7. 10 μm-1 mmの厚み
          8. 100 V ~ 10 kVもの非常に高い電圧が必要
          9. ⇒著しい溶液電極の劣化=ディスプレイや照明としての応用を検討できず
          10. これまで絶縁性と考えられていた有機物
          11. 電界を印加することによって
          12. 注入された正と負のキャリアが有機分子上で再結合して励起子を生成
          13. その輻射失活によって発光する=意義は大きい。
          14. 有機ELの研究が可視光の中で最も波長の短い青色発光
          15. アントラセンから始まったこと=有機ELの急速な実用化を促す。
          16. OLED_I-5.png
        4. 有機ELの研究の始まり
      3. 課題
        1. 様々な方法で高輝度・高効率化が図られたが、
          1. 1970年代から1980年代前半は有機薄膜を用いたキャリア注入型ELの模索
        2. 第一の課題
          1. キャリアの注入、電子の注入
          2. コピー機やレーザープリンターの感光ドラムに利用されるOPC材料
          3. ポリビニルカルバゾールやトリフェニルアミン誘導体の正孔輸送特性が見出だされた
          4. 以来、正孔の注入および輸送が起こる有機材科は数多く報告あり。
          5. ⇒電子の注入は起こりにくく、
          6. ⇒電子輸送特性に優れた有機材料はほとんどない。
          7. さらに、有機物に電子を注入するために
          8. 仕事関数の小さなアルカリ金属
          9. アルカリ土類金属の固体電極が用いられた
          10. しかし、
          11. 金属の活性が高く空気中で安定して用いることができなかった。
        3. 第二の課題
          1. 電界印加時の有機薄膜の安定性不足
          2. 様々な有機色素の真空蒸着膜
          3. 有機ELに試みられたが、
          4. 蒸着膜は目的とした単結晶とはならず微結晶集合体
          5. ⇒電界印加時の絶縁破壊や放電現象が不安定性を招く要因
          6. そこで、
          7. 印加電圧を下げる目的でラングミュアーブロジェット(LB)膜を用いた超薄膜有機乱が試みられた
          8. しかし、期待される安定性は得られなかった。
      4. 1986年に林ら
        1. 正孔注入を改良するため
        2. インジウムースズ酸化物(Indium Tin oxide:lTO)透明電極
        3. 発光層であるペリレン層蒸着膜
        4. 間にポリチオフェン薄膜を導入
        5. しかし、
          1. ポリチオフェン膜の導電率は高くはなく、
          2. 当時は
          3. ポリチオフェンを正孔注入電極
          4. 見なし絶縁性の正孔注入・輸送層
          5. 要約
          6. 考えなかったため
          7. 機能分離した多層構造の有機ELの発想には至らなかった。
        6. 要約
          1. ⇒積層型素子を作製
          2. 著しいホール注入特性の改善と発光開始電圧の大幅な低下
  4. Ⅰ.4 高効率有機ELの実現
    1. 有機ELの研究開発の停滞状態を打破
    2. 1987年にイーストマン・コダック社のC.W.Tangら
      1. 100 nmオーダーの有機超薄膜の積層構造を採用
        1. 順次真空蒸着して素子を作製(図I-6)
          1. 有機EL素子(図I-6)。
          2. OLED_I-6.png
        2. ガラス基板にITOの陽極電極を形成
        3. 正孔輸送層としてジアミン誘導体(1,1bis(4-[bis(4-methlphenyl)amino]phenyl)cyclohexan) 75 nm
        4. 電子輸送層&発光層Tris(8-quinolinalate)aluminum(Alq3) 60 nm
        5. 陰極:MgAg電極
      2. 素子にITO電極に対して順方向の電圧を印加
        1. 10 V以下の低電圧で1,000 cd/m^2を越える高輝度・高効率
        2. 高性能の有機EL素子を実現。
      3. 横層型有機EL素子の成功
        1. 様々な工夫:C. W. Tingらの報告
          1. 有機ELのブレイクスルーと呼ばれるほど大きな影響
          2. 高輝度・高効率の有機ELの発表⇒有機ELの研究は一気に加速
      4. 有機ELの特徴
        1. 電気的・光学的性質が異なる有機薄膜を2層組み合わせたこと
        2. 2層それぞれの厚さがそれまで考えられていた有機層よりも1桁程度薄い
        3. 電子注入:有利だが大気中で不安定だったマグネシウム電極に銀を少量混ぜ合金
        4. 電子注入特性を犠牲にせずに大気安定性を得たこと
        5. 電極と有機層との良好な密着性を達成したこと
        6. 光学干渉を利用し光取り出し効率を向上させたこと
          1. 光学干渉.gif
    3. ほぼ同時期に、安達ら
      1. 発光層を電子輸送層と正孔輸送層で挟んだ3層型構造(ダブルヘテロ構造)
      2. 正孔輸送層が発光層の機能を兼ねる新しい2層型構造の利用
      3. C.W.Tangらの2層構造が必ずしも唯一可能な積層構造でないことを示す
      4. 電子輸送材料:発見
        1. 電子輸送層の概念が確立
      5. 素子構造
        1. 5 nmへの励起子閉じ込め
        2. 高輝度の青色発光を初めて実現
    4. 1990年代
      1. さらに世界中の研究者によって有機ELの研究が活発
      2. 細仙ら
        1. 新規材料を分子設計する立場から研究を展開
        2. ジスチリルアリーレン誘導体という一群の高性能の青色発光材料
      3. 浜田ら
        1. Alq3蒸着膜が優れた耐久性をもつことを重視
        2. それを出発点として新しい発光性の金属錯体を広範囲に探索
        3. いくつかの優れたEL材料を発見
      4. 鋼フタロシアニンやスターバーストポリアミン
        1. ITO電極と正孔輸送層の間に挟むことで耐久性を著しく向上
        2. バッファ層の考え方が提案され
          1. その研究も進んだ
      5. キレート金属錯体などの低分子色素を用いた素子の発展
        1. π共役高分子材料である
          1. ポリフェニレンビニレン(PPV)の単層薄膜キャリア注入型ELが観察
          2. ポリアルキルチオフェン(PAT)、
          3. ポリアルキルフルオレン
        2. Metal-EDTA.png
      6. π共役高分子を用いたEL
        1. 電子輸送性のオキサジアゾール誘導体
          1. 分散したポリメタクリル酸メチルを積層させて発光効率を向上
    5. 有機材料の探索とともに、
      1. 赤(スペクトルのピーク波長約625 nm)・緑(約520 nm)、青(約460 nm)に発光スペクトル
        1. 色素を組み合わせることによって白色ELの実現
        2. 陰極電極にフツ化リチウムを挿入することによって著しく性能を向上
      2. 有機ELを単なる発光素子としてではなく、
        1. 素子にファブリペロー型ミラーを導入した微小共振器ELの作製
          1. ファブリペロー型ミラー1.png
          2. ファブリペロー型ミラー2.png
          3. ファブリペロー型ミラー3.png
        2. 電流励起による有機導波路型レーザーダイオードの実現に向けた厚膜素子の開発
  5. Ⅰ.5 リン光発光有機ELの開発
    1. C.W.Tingらの報告から10年ほど
      1. 蛍光発光による有機ELの特性の報告が相次いだ
        1. その間に目標となっていたのは
          1. 三重項励起状態からの発光による常温リン光の観測
    2. プリンストン大学と南カリフォルニア大学のグループ
      1. 最初の報告:
        1. 白金錯体やイリジウム錯体をドーバントに用いた有機ELから室温で安定したリン光発光の報告
          1. OLED_I-7.png
          2. リン光有機ELの研究開発が一気に進んだ
      2. 現在
        1. 三重項励起子からの発光を利用するデバイス
          1. 有機EL一重項励起子からの発光を利用した
          2. 理論上の最大量子効率である5%を超える8%を達成
    3. 九州大学らのグループによって
      1. 以前
        1. ペンゾフェノン誘導体やケトクマリンを用いたリン光発光の有機ELが確認
        2. 極低温の77 Kの低温下に限定。
      2. 現在では、
        1. イリジウム錯体の積極的な開発
        2. ホスト材料の三重項励起エネルギー状態も徐々に明らかに
        3. 安達や時任らにより
          1. 最適な素子構造を用いることによって
          2. 緑~19%、赤~12%、青~6から20%非常に高い外部量子効率が実現
          3. 特に緑に至っては、ほぼ限界の発光効率まで達している。
  6. I.6 有機ELの産業化への進展
    1. 1997年にパッシブマトリクス駆動のモノカラー有機ELパネル
      1. パイオニアから発売供給されて
        1. 有機ELの市場はまずディスプレイから形成
    2. 規模はDisplay Searchの調査
      1. 有機EL分野の2010年度の売上高は日本円で1,000億円を超える。
    3. 産業として急成長させたのは、
      1. 韓国Samsung Mobile Displayによるアクティブマトリクス駆動方式の有機EL(AMOLED)
        1. 主に小型モバイル向けのパネル
          1. Samsung Mobile Display: AM-OI.EDの全売上を占める。
    4. 近年に製造もしくは製造準備を始めた
      1. 韓国(Samsung グループ、LGグループ)、
      2. 日本(ソニー、三菱電機)の代表的な4社について、
      3. 有機ELの産業化へとつながった技術について概観する。
    5. 企業
      1. Samsung
        1. 2007年3月
          1. KDDIのデザイナー携帯「au design」のモデルとして発表された「MEDIASm」
          2. 有機ELパネルがメインディスプレイとして本格採用
          3. パネルサイズは2.4型
          4. 携帯電話の製造元:京セラ
          5. 搭載された有機ELパネル:韓国Samsung SDI(現 Samsung Mobile Display)
          6. それまで市場参入のハードルとなっていた
          7. 発光寿命が3万時間に達したことが採用のきっかけ
        2. その後、
          1. 有機ELパネル
          2. 日本のみならずNokiaを含む海外の携帯電話のメインディスプレイとして導入
          3. 画面サイズも2.4型から3型台へと広がっていった。
          4. AM-OLEDの急激な伸びは、世界的なキャリアに搭載されたことが大きな要因
          5. AM-OLEDを自社のスマートフォンに搭載
          6. 2010年6月に発売した「Galaxy S」で、
          7. WGA(800×480)の4型有機ELディスプレイを搭載した。
      2. Apple
        1. iPhoneが発表される
          1. 新たな携帯端末としてスマートフォンが注目
          2. スマートフォン用のディスプレイ
          3. タッチパネル化する技術が組み込まれるため、輝度低減
          4. 視野角依存性など
      3. ソニー
        1. 2004年に3.8型の有機ELパネル
          1. PDA(商品名「クリエ」)に搭載したが、
          2. クリエ_有機EL.jpg
          3. XEL-1はそれに続く有機ELの商品化
          4. OLED_I-8.png
        2. 2007年12月にソニーから世界で初めてとなる11塑の有機ELテレビ(XEL-1)が発売
          1. 世界中で大きく注目された
          2. XEL-1の960×540ドット(QHD)の解像度
          3. FHD(1,920 × 1,080 ドット)
          4. ちょうど4画面に分割した大きさで、
          5. ハイビジョン映像規格となるアスペクト比16:9の設計を考慮
          6. 要約
          7. xel-1bnnr.jpg
          8. パネルの特徴
          9. 上面発光方式(トップエミッション)での光の取り出しを採用
          10. バックプレーン(素子駆動用トランジスタ)による開口率低下を解決
        3. その後、ソニー
          1. 民生機器から放送機器向けの業務用モニターに有機ELパネルを展開
          2. 2010年4月
          3. QHDの7.4型の業務用モニター
          4. 2011年2月
          5. 17型および25塾(FHD:1,920×1,080ドット)のモニターの販売
          6. 2011年段階:市販されている有機ELディスプレイとしては最大
          7. 一方で、開発ペースで
          8. SID2010;ソニーから曲率半径4 mmで巻き取りながらの動画再生が可能となる有機ELディスプレイの発表
          9. sony有機EL_動画再生.jpg
          10. OLED_I-9.png
          11. 有機物ならではの機能として印刷法によって
          12. 電子デバイスが作製できることを明示
          13. 分野:プリンテッドエレクトロニクス、
      4. L G
        1. ソニーの発表の後に
        2. 韓国LG Electronicsから
          1. 15型の有機ELテレビ(EL9500)が販売
          2. 輝度は200 cd/m2(ピーク輝度:440 cd/m2)、
          3. NTSC比で87%:色域
          4. 解像度はHD(1,366×768)
          5. 試作段階
          6. 2010年の下半期に欧米の展示会で31型の有機ELディスプレイ
          7. 3Dの映像表現を表示
          8. 解像度はMD(1920 × 1080 ドット)
          9. 最薄部分で2.9 mmを実現
          10. LGDisplay
          11. パネルの製造で白色OLED方式を開発
      5. 三菱電機
        1. 2010年9月、新しい方式による大型映像装置が発売
          1. 大きさが手の平の寸法に近い96 mm X 96 mmの小型パネルを4 × 4枚配置
          2. 384 mm x 384 mm のモジュールをタイリング方式によって
          3. 大画面化した技術
        2. 155型サイズのディスプレイを披露
          1. 目地がわからないようにつなぎ合わせていくことで大型化を可能にするユニークな技術
        3. モジュールの組合せの方法によって
          1. 縦方向にも横方向にも画面を伸ばすことができる
          2. 曲率を大きくすることで円筒状や球状にもすることができる
        4. モジュール
          1. 画素ピッチが約3 mm間隔で配置
          2. 画素密度は111,111ピクセル/m2の集積度
          3. 映像はパッシブ駆動で制御、
          4. ピーク輝度:1,200 cd/m2
          5. 寿命:3万時間の信頼性
          6. 用途:主に室内向けのデジタルサイネージャ公共機関の案内表示など
  7. Ⅰ.7 照明産業への展開
    1. 近年の環境エネルギーおよび低炭素社会の取り組み
      1. 照明分野でもより低環境負荷の照明が求め
        1. 照明器具の中
          1. 蛍光灯は80~100 Wの高い電力効率を示し、
          2. 効率の観点では最も優れている。
    2. 有機ELは代替照明技術
      1. 100 lm/Wへ向けた技術的な取り組み
      2. Kodakの発表
        1. 1987年の発表論文では、有機ELの発光効率は1.5 lm/W(外部量子効率は1%)にしか過ぎなかった。
      3. それが今では開発段階
        1. 100 lm/W に到達する水準
    3. 有機ELの発光機構
      1. 蛍光方式とリン光方式の2方式
      2. 100 lm/Wの電力効率を達成するために、
        1. 理論上、蛍光の4倍の効率が得られるリン光方式を採用するほうが有利
        2. そのため、有機EL照明は効率が得られるリン光性発光方式で技術開発
      3. リン光発光機構
        1. 形成した励起子が100%に近い確率で発光に変換
    4. 照明を製造するプロセス
      1. ディスプレイのような微細なピクセルを塗り分けて形成しなければならないといった制約はない
      2. 代わりに設定輝度や求められる発光効率
        1. ディスプレイのスペックよりも格段に高い。
    5. 白熱灯に代わって低環境負荷の照明に切り替えられていく流れの中で
      1. 照明用有機ELの商業化は始まったばかり
        1. 2010年を境に有機EL照明の製造および開発が矢継ぎ早にアナウンスされ注目のデバイスとなっている。
    6. 特に日本におけるプレスリリースが活発
      1. この分野では日本がリードする流れを形成
    7. 企業
      1. ルミオテック
        1. 三菱重工業、ローム、凸版印刷などが出資
        2. 2008年5月に日本において最初に設立された有機EL照明パネルに特化した製造メーカー
        3. 2010年初頭にサンプルパネルの提供を開始
          1. 11月には本格的にパネル販売へとビジネスを進めている。
          2. 145 mm角で厚さ2.3mの基板に125mn角の発光面をもつパネル
          3. 正方形2種類、長方形3種類の計5種類のパネルサイズ
          4. 2,800 Kと4,900 Kの2種類の色温度の組合せによって10種類のバリエーション
        4. 暖色系2800 Kのパネルスペック
          1. 輝度2,800 cd/m2 
          2. 初期輝度が3,000 cd/m2での半減寿命は1万時間
          3. 初期輝度が1,000 cd/m2での半減寿命は10万時間
      2. 三菱化学:2011年4月:
        1. 世界で最大の発光面積140 mm角のパネルのサンプル出荷
          1. パネルの設定輝度:1,000 cd/m2
          2. 発光効率:28 lm/W
        2. 特徴
          1. 色変調が可能・白色の色温度を可変調整できる
          2. たとえば白色は、色温度が2,700/3,000 Kのウォームホワイトから6,500 Kのクールホワイトまで可変
          3. Ra:80以上を保証
        3. パネルの製造
          1. ITO電極上に接する第1有機層の正孔注入層を世界で初めて塗布工程で成膜
          2. 電極表面の凹凸に起周する輝度むら対策
          3. 意図としないパーティクルの欠陥対策としても有効
          4. 正孔注入層のみを塗布型
          5. 将来的にはコスト低減の戦略として、続く正孔輸送層や発光層も含めた連続塗布製膜を確立すること
          6. (ソニー・パナソニックはこれを達成している20131001)
      3. 力ネカ: 2011年3月
        1. 新たに有機EL照明の分野に参入、受注販売開始
          1. 間接照明をメインに多色展開による販売拡大を目指す
        2. 展示会
          1. 77 mm角のスクエア型を含む4サイズ
          2. 発光色は白(色温度2,500 Kと3,000 K)、青、緑、赤、橙の6パターンによる計24種のラインナップ
      4. パナソニック電エ:パナソニック出光OLEP照明(株)
        1. 2011年4月
          1. パナソニック電工と出光興産は、照明用有機ELパかルの開発・製造・販売を目的とした合弁会社
        2. 2011年9月
          1. 設定輝度:3,000 cd/m2(発光面積 80 mm各)のパネルを商品化
          2. 発光効率:30 lm/W、
          3. 寿命は光束維持率 70%で10,000時間を超える高水準
          4. 色の演色性に優れた高品質な光源に仕上げている
          5. Ra:90
          6. 演色性(Ra):照明で物体を照らすときに、自然光が当たったときの色をどの程度再現しているかを示す指標=100
        3. このような高いRaをなすためには高効率の色の深い青色発光体が求められる。
      5. コニカミノルタ
        1. コニカミノルタ+フィリップス
          1. コニカミノルタ
          2. General Electricとの共同開発
          3. フレキシブル基板を利用した塗布型のロール・ツー・ロール方式でパネル開発を進めていた
          4. しかし、2011年3月でその共同開発を終える。
          5. 代わって
          6. オランダのPhilips Technologie GmbHへ
          7. 技術導入と委託生産によって
          8. 事業参入を急ぐことに方針を転換。
          9. コニカミノルタとフィリップス
          10. パネル:大きさが74 mm角
          11. 色温度:2,800 K、
          12. パネル輝度: 1,000 cd/m2に光源設計
          13. 2011年8月までに発表された中
          14. 商品化されている有機ELパネルの中で最も高効率な発光効率45 lm/Wを達成
          15. フィリップスの仕様表
          16. 定格電圧は3.6 V、
          17. 定格電流値は71.5 mA
          18. パネル消費電力:0.25 W程度と低く
          19. 低消費電力でありながら効率を得ている。
        2. 20210626時点
          1. 有機EL_コニカミノルタ.jpg
          2. https://www.konicaminolta.jp/oled/about/index.html
  8. 2021NEWS
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          15. https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2105/17/news049.html
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          14. Gateboxは、コーヒーメーカーのような円筒形の装置の内部に映し出される3Dキャラクターとコミュニケーションを楽しめるマシン。Gatebox Grandeはその大型機種で、本体の大きさは101cm(幅)×202cm(高さ)×73cm(奥行き)。重さは230kg。65インチの有機EL(OLED)ディスプレイを搭載し、最大で80.4cm(幅)×140.75cm(高さ)の映像を4K画質で表示できる。
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