アナウンス
4月27日(第3回)権利の主体 オンデマンド配信講義+課題フォーム
本日の学習範囲:教科書「プロローグ」
講義時の資料のみせかた・みかた
第2回講義後の課題フォーム(4月26日終日〆切)
5月課題:民法典の階層的構造を視覚化する。民法典の体系マップ作り。
民法とは?
膨大な体系である民法典
六法で民法の最後の条文を開くと、1050条
果たして全部で何箇条の条文が含まれているのであろうか
民法制定時(1898年)1044箇条
その後の改正
削除された条文
追加された枝番号の付いた条文 例、第○○条の2
階層的・体系的な構成、入れ子構成、フォルダ構成
法学部の民法科目は、複数科目に分かれて、学修する。果てしない旅。
民法入門
民法総則
物権法I
物権法II
債権総論I
債権総論II
債権各論I
債権各論II
親族相続法I
親族相続法II
財産法
家族法
何を規律する法律なのか
人とのつながり
人は人とつながらないと生きていけないという前提
「ロビンソンクルーソーに民法は要らない」という比喩話
「社会あるところに法あり」という法諺
「契約」を通じた日常生活の構築
社会を権利義務関係で捉え、その基本的ルールを定めるのが民法
「権利義務の存否は、抽象的観念的なものであり、人の目で見て認識できるものでも、鼻で臭いを嗅いで分かるものでもない。それでは、民法は、どのようにして権利義務の存否を認識しようとしているのだろうか。」
法律の規定や法解釈・法理論から浮かび上がる権利義務
基本事例1
民法587条←民法のどのフォルダに入っているか探ろう
契約の成立により、債権債務関係が生じる
「実体私法の一般法」としての民法
実体法と手続法(訴訟法)
私法と公法
一般法と特別法
特別法は一般法に優先する
特別法がなければ一般法に立ち戻る
民法典の構成
「民法典は、構成としてはドイツ民法の大きな影響を受けたと言われている。一言で言うと、共通する項目を前に出すという作業を繰り返して編製されている。民法全体の総則(第1編)があり、物権(第2編)や債権(第3編)のなかにも総則(各第1章)が置かれているといった具合である。つまり、体系指向の強い構成が採用されているわけである。」
「パンデクテン」体系(システム)
特徴① 総則と各則の階層的・段階的構造
特徴② 財産権を「物権」と「債権」とに分けて構成する
特徴③ 共通要素を見出し、「総則」に一般的・共通ルールを定めるので、どうしてもルールが抽象的・概念的になりがち
特徴④ ルールの数は、他の体系よりも、少なくなる(とはいっても、多いが)
特徴⑤ 条文操作に一定の基礎知識が必要である。順番で読んでいけば理解できる、というものではない。
特徴⑥ 民法の全編をコンプリートして初めて、ある紛争事例の民法的な解決を導きうる
日本民法は、5つの編から成る
編>章>節>款>目
一つの条文に着目
条>項>号
公布された法律の原文には、第1項の冒頭に、「1の表示がない」。市販の六法には、わかりやすく①などが表記される。
本文ーただし書
前段(第1文)ー後段(第2文)
Respon第2回講義問題
民法典の歴史
1898(明治31)年7月16日施行
基本法典の整備は、幕末の不平等条約撤廃のため、是が非でも必要であった
背景事情
①領事裁判権の承認
②関税自主権の否定
条約を撤廃しないとどうなるか?
法典編纂と条約撤廃とは、どうつながるのか?
民法編纂事業は明治初頭から開始された
「誤訳を妨げず、唯速訳せよ」(江藤新平)
何を「訳せ」というのか?
1804年 フランス民法典
箕作麟祥(みつくり・りんしょう)の天才的な語学力
日本近代法学の祖
『仏蘭西法律書』
先生もいない・辞書もない・法学も学んだことがない・相当する日本語がない、という状況での翻訳の過酷さを想像してほしい
柳父章『翻訳語成立事情』(1986年、岩波新書)
穂積陳重『法窓夜話』(1915年)の「五一 民法」「六一 フランス民法をもって日本民法となさんとす」「六二 民権の意義を解せず 」
お雇い外国人の招聘
ギュスターヴ・エミール・「ボアソナード」
日本近代法の父
「法整備」と「法教育」
ハードとソフト
制度・建物と人
当時の法曹養成の困難性を想像してみよう
旧民法・旧商法の草案(ボワソナード草案)
明治23年民法の公布
民法典論争
施行断行派
施行延期派
「民法出でて忠孝亡ぶ」(穂積八束)
施行延期法律
旧民法の修正作業と明治民法の完成・施行
法典調査会の設置 起草委員の三博士
梅謙次郎(1860-1910)
『民法要義』
日本民法典の父
穂積陳重(1855-1926)
The New Japanese Civil Code: As Material for the Study of Comparative Jurisrudence
John Harington Gubbins, The Civil Code of Japan (1897)
富井政章(1858-1935)
統一ドイツの民法典編纂事業
1896(明治29)年 総則編・物権編・債権編の公布
1898(明治31)年 親族編・相続編の公布、全編施行
日本民法は、「比較法の所産(a fruit of comparative jurisprudence)」である
ここまでの歴史を踏まえて、民法の冒頭にある上の文章の意味することが分かりますか?
法務省旧本館(赤れんが棟)の法務史料展示室
時間を作って訪問してみよう!!
アクセス
ついでに歩いて最高裁
民法の歴史
1947(昭和22)年 後2編(親族編相続編)の大改正 ←日本国憲法の発布
1999(平成11)年 成年後見制度の導入
2003(平成15)年 担保及び執行法制の改正
2004(平成16)年 民法の現代語化 カタカナ文語体漢文調→ひらがな口語体
2017(平成29)年 債権法等の大改正
2018(平成30)年 相続法の改正
2021(令和3)年 物権法及び相続法の改正